スマートホームとスマートハウスの違い
自宅の屋根に太陽光発電システムを設置して、家庭用蓄電池を搭載し、HEMSを導入してエコキュートやエネファーム、エコジョーズ、それに電気自動車も購入したという、いわゆるスマートハウスにお住いの方は、
・自宅でエネルギーを創り出して蓄え、そこから必要な時に必要な分だけ消費し、余った電気は売電する
ことができますので、実質的に光熱費は大幅に削減することができるでしょう。
こうしたエネルギーマネジメントシステムなどを備えた住宅をスマートハウスと言います。
一方で今回の話は、上記のような「スマートハウス」ではなく、「スマートホーム」について、光熱費はどうなるのか?を考えてみようというものです。
スマートホームとは、エネルギーマネジメントのみならず、IoT化された家電や家具がインターネットに繋がり、相互通信することで遠隔操作が可能になったり、生活空間を居住者好みにカスタマイズできたりする住宅を指します。
各メーカーから様々なIoTデバイスが発売されていますが、スマートホームを導入することで光熱費を抑えることができるようになるのでしょうか?
光熱費を抑えてくれそうなスマートホーム向けIoTデバイス
スマートホーム向けのIoTデバイスは実に様々ですが、大きく分けると、
・遠隔操作が可能な学習型赤外線リモコン
・人間や動物の動きを検知する人感センサー
・温度、湿度、照度などを検知する環境センサー
・在宅者の見守りや屋内外を監視できるネットワークカメラ
・各デバイスと通信するハブ/ゲートウェイと呼ばれる基幹製品
・窓やドアの開閉、鍵の施錠状態を確認、操作できるセキュリティデバイス
などがあります。
光熱費の削減に貢献してくれそうなスマートホームデバイスというと、人感センサーや温度センサーなどを搭載していて、それによって人がいる・いないを見極め、最適な温度で効率よく部屋を暖めて(冷まして)くれるデバイスということになりますが、そんなデバイスがあるのでしょうか?
実は、日本では馴染みが薄いかもしれませんが、例えばアメリカでは人気のnest Learning Thermostat(以下nest)がまさに上記のような光熱費削減に貢献してくれるスマートホームデバイスです。
住宅面積が広く、セントラルヒーティングと呼ばれるいわゆる「全館冷暖房」で家中の部屋の温度を管理する文化があるアメリカでは、Thermostatの設置は一般的です。
日本ではエアコンをこまめにオン・オフすることが省エネや節電に繋がると考えられてきました。しかしながら、近年では起動時の消費エネルギーが大きいことや、つけ始めの数分間は室内を一気に暖める(冷やす)ためにさらに電力を大きく消費するので、エアコンをこまめにオン・オフすべきではないという考え方も広まっています。
そのため、常にエアコンを27度~28度などでオンにしているという方も実際に多くいるようです。
nestは温度センサー、湿度センサー、照度センサー、人感センサーなどが搭載されているほか、独自のAI(人工知能)も組み込まれていて、人が家にいる時間帯を学習してくれます。
人がいる・いないで部屋の温度は変わりますし、不在時に在宅時と同じ温度を保っておくことは、光熱費を削減するという点では賢くありません。
nestのセンサーが取得した情報を元に自動で学習して常に最適化してくれますので、スマートホームの光熱費削減に大きく貢献してくれます。nest社の研究では暖房費を平均10~12%、冷房費を平均15%節約できたことが証明されています。
nestは現在3rd Generationまで発売されていて、Amazon.co.jpでもNest Learning Thermostat, 3rd Generation, Works with Amazon Alexaが36,014円で販売されています(なお並行輸入品を購入される際は、メーカー保証が受けられないなどの可能性がありますので、商品説明などをしっかり理解した上で購入されることをお勧めします)。
そのほか、光熱費の削減に貢献してくれそうなスマートホーム向けIoTデバイス
株式会社マウスコンピューターが2017年8月に販売を開始したmouse スマートホームは、使い方次第で光熱費の削減に貢献してくれるでしょう。
ラインナップの中にある「スマートプラグ」は、そのプラグを通して接続した家電の電源のオン・オフできるほか、電気使用量を確認できたり、消費履歴を確認できたりしますので、電気の消費量が「見える化」され、節電意識が高まることが期待できます。
スマートプラグ自体は税別4,980円ですが、基幹製品となるルームハブ(同9,980円)を経由しなければ使用できませんので、それならばプラグとハブに加えてモーションセンサーやドアセンサー、スマートLEDライトなどがセットになったスターターキット(同24,800円)を購入した方がお得感があるかもしれません。
また、こちらはデバイス自体が何らかの削減をもたらしてくれるというよりは、「消し忘れ」などによる無駄な消費を防いでくれるという意味合いが強くなりますが、eRemote(参考価格9,617円)は遠隔操作で家中の赤外線リモコンを使用する家電をコントロールすることが可能です。
HEMSなど、スマートハウス関連のシステムや設備を導入するには高額な費用が必要ですが、今回ご紹介したようなスマートホーム向けIoTデバイスを上手に活用すれば、ある程度光熱費を削減することも可能になるのではないでしょうか?