WWDCでAppleが発表したCarKeyとは?
まずは、アップルが2020年のWWDCで発表した「CarKey」とはどういった機能なのか、WWDCの概要と併せて解説します。
WWDCとは
アップルが、世界中の開発者向けに毎年開催しているイベントで「World Wide Developers Conference」の略です。今年は新型コロナウイルスの影響で、史上初めてオンラインで行われました。故スティーブ・ジョブズのプレゼン映像を観たことがある方はすぐにイメージが湧きますね。WWDCでは、アップルによる革新的新技術や新製品が次々と発表されます。
CarKeyとは
アップルが今年のWWDCで発表したCarKeyとは、簡単にいえば「iPhoneが車のキーになる」という画期的な機能です。以前からウワサされてはいたものの、ここへきてついに実装されることが決定しました。今秋とされているiOS14(仮称)へのアップデートで実現するものと思われていましたが、マイナーアップデートであるiOS13.6から実装されるのではないかとの憶測も飛び交っています。
CarKeyの概要や対応車種とは?
CarKeyでは具体的にどんなことができるのでしょうか?概要や、現時点で分かっている情報を交えて解説していきます。
CarKeyの概要
CarKeyは、iPhoneのWalletアプリに、車と互換性がある仮想キーを追加するというシステムです。対応機種はiPhone XR、iPhone XS以降(X系)および、iPhone SE第2世代、Apple Watch Series 5となっています。なおアップルは、Car Keysには「NFC」「UWB」2つの機能があることも発表しています。
NFCはApple Payなどにも活用されているシステムで、こちらは2020年中にも利用できるとしています。一方、UWB(U1チップの超広帯域無線通信)はiPhone11シリーズから搭載されるようになったシステムで、こちらは2021年中に利用できるようになるとされています。
なおCarKeyはネットワークに接続できない状態でも使えるうえ、バッテリーが残り少なくなっても最大で5時間作動する仕組みになっています。
ただし、車もこの機能に対応していなければなりません。したがって、あくまで現段階での話ですが、すでに販売されている一般的な車でCarKeyを利用することはできないと考えてよいでしょう。
対応車種はBMW
WWDCで発表された対応車種はBMWです。もちろん、今後どんどん増えていくことは間違いありませんが、まずはBMWからスタートということになります。BMWではCarKey機能を「BMW Digital Key」として提供するとしており、2020年7月1日以降に製造された各シリーズで利用可能になります。さらにBMW5シリーズの2021年モデル以降にCarKeyを採用することも発表しています。
CarKeyのメリットとは?どんなことが可能になる?
CarKeyではどんなことができるのでしょうか?また、CarKeyが普及することによりどんなメリットがあるのでしょうか?
CarKeyで何ができる?
車のドアの持ち手部分を「タップ」するだけでドアロックが解除されるようになります。また車内では、iPhoneを車内に搭載されたワイヤレス充電器にセットすることで、ボタン一つでエンジンを始動させられるようになります。なお、上述のUWBが利用できるようになれば、ポケットやカバンからiPhone取り出すことなくドアロックの解除が可能になります。
このほか、CarKeyでは仮想キーの情報を暗号化してWalletに保存することにより、家族や親しい人などと標準アプリである「iMessage」を使って共有できるようになります。しかも、万が一iPhoneまたはApple Watchを紛失してしまった場合でも、iCloudから簡単に無効化が行えるとしています。つまり、安全面においても物理キーより優れていると言えるでしょう。
CarKeyのメリット
物理キーを持ち運ばなくて済みますので、その分持ち物が減り、管理も楽になります。車のシェアや一時的なキーのコピーなども手軽に行えることから、カーシェアリングサービスにおいてもかなりの普及が見込まれています。当然、車側が対応しなければならないためすぐに普及することは考えにくいですが、CarKeyの登場によって「利便性」の面で大きなメリットが生じるのは間違いないでしょう。
CarKeyはiPhoneの未来を我々に示している
WWDCではこれまで、アップルによる革新的新技術や新機能が次々と発表されてきましたが、ついに車の仮想キーまで完成させてしまいましたね。いずれはCarKeyに対応した車に近づくだけでドアロックを解除できるようになるとも言われています。もはやスマホは電話ができる小さなパソコンではなく、私たちにとってさらに身近で手放せないデバイスとなっていくでしょう。
しかもアップルのCarKeyが成功し普及すれば、各メーカーも同等の機能を搭載したデバイスを次々と開発するはずです。他の分野・業種にも広がり、銀行のATMやPOS(レジ)の決済などさまざまな機器との連携も期待されています。
CarKeyはまさに、iPhoneの未来を示してくれていると言えるでしょう。今後、どう発展していくのか要注目です。