31年目を迎えるWWDC2020とは?
WWDCとは、アップルが毎年開催している開発者向けのイベントです。まずは基本を押さえておきましょう。
WWDCについて
正式名称は「Worldwide Developers Conference=世界開発者会議」です。今年で31年目を迎えるイベントで、WWDC2020は6月22日〜26日(現地時間)までの5日間にわたって開催されることが決まっています(日本時間6月23日午前2時開始)。日本では毎年のように深夜開催ですが、この日だけは興奮して眠れない!という方も多いのではないでしょうか?
私たち一般ユーザーがアップルのイベントに期待するのは、macOSやiOSの新バージョンの発表、最新ハードウェアの発表などですが、WWDCでメインとなるのはどちらかと言えば開発者ラボ、エンジニアリングセッションなどです(詳しくは後述します)。
WWDC2020は参加費が無料に
通常、WWDCに参加するには1,600ドル(約17万円!)もの参加費が必要でした。ところがWWDC2020はオンライン開催ということもあり、すべての開発者を対象にApple Developerアプリとウェブサイトを通じて参加費無料でアクセスすることができます。これまで現地に行けなかった何百万、何千万という世界中の開発者たちも、アプリをインストールすることでどこからでも気軽に参加できるようになりました。膨大な数の参加者が見込まれています。これが、従来のWWDCとWWDC2020とのもっとも大きな違いだったといえるでしょう。
WWDC2020のラインナップと概要まとめ
WWDC2020のラインナップについて、分かりやすくまとめました。初日に行われたWWDC2020のハイライト、基調講演なども含めて紹介します。
基調講演とPlatforms State of the Union
基調講演:6月22日午前10時(同23日午前2時)
Platform State of the Union:6月22日午後2時(同23日午前6時)
一般ユーザーがもっとも楽しみであっただろう基調講演は、Apple Parkのホールで開催されました。You Tubeのほか、Apple.com、Apple DeveloperアプリまたはWEBサイト、Apple TVアプリからも視聴可能で、ライブ配信終了後もオンデマンドで観ることができます。
Platform State of the Unionではアップルのエンジニアリングリーダーが登場し、iOS14、iPadOS14、macOS10.16、tvOS14、watchOS7といった各種OSの進化や最新技術について深く掘り下げた話を聞くことができます。Apple DeveloperアプリまたはWEBサイトで観ることができます。
100以上のエンジニアリングセッション
6月23日〜26日(同24日未明〜27日)
ここからは2日目です。アップルのエンジニアによる100を超えるセッションが予定されており、その中で開発者はデザイン、技術、次世代アプリ開発などについて学ぶことができます。セッションの模様は毎日午前10時(同午前2時)にアップされています。iPhone、iPad、Apple TVなどから、Apple DeveloperアプリまたはWEBサイトで観ることができます。
まったく新しい開発者フォーラム
日時未定(6月18日に再設計)
アップルの技術者と話せる開発者フォーラムです。1,000名を超えるアップルのエンジニアが参加します。ディスカッションは誰でも観ることができるほか、Apple Developer Programの会員になっている開発者は、エンジニアに質問を投稿したり技術や知識を学んだりすることができます。
1対1の開発者ラボ(予約制)
6月23日〜26日(同24日未明~27日)
完全予約制のラボです。アップルのエンジニアと開発者が1対1で面会し、その中で新機能の実装方法や新技術についての詳細な情報を教えてもらうことができるほか、技術指導も受けられます。ラボはApple Developer Programメンバーなら誰でも参加可能です。
基調講演やPlatforms State of the Union、エンジニアリングセッションについては開催後、Apple DeveloperアプリまたはWEBサイトから開催の模様がアップされていますので、見逃した方はぜひチェックしてみてください!
全世界が注目!WWDC2020での発表まとめ
iOS 14
・ウィジェットがホームスクリーンに
従来は別画面に表示されていたウィジェットが、アプリと一緒にホームスクリーンに表示されるようになり、一目で多くの情報を得ることを可能にします。ウィジェットのサイズや配置も自由に設定できます。また、「Smart Stack」機能によって、時間帯やよく使うアプリに合わせて表示されるウィジェットが自動で切り替わります。
・App Library
すべてのアプリをカテゴリごとに自動で整理し、探しやすくしてくれます。よく使うアプリはワンタップで起動できます。
・Compact Calls
これまでのOSでは着信があると全画面に表示されていましたが、新OSでは他の通知と同じように小さなバナーで上部に表示されます。着信があっても作業を中断しなくてよくなります。
・Picture in Picture
他のアプリを使いながら、動画を見たりFacetimeでビデオ通話したりすることができます。
・Messages
メッセージのアプリも進化しました。よくやりとりする人を9人までトップに固定する機能が追加された他、グループトークにアイコンとして画像やMemojiを追加したり、グループ内の特定のメンバーにメンションしたり、特定のコメントにリプライしたりできます。Memoijにも新しい髪型やアイテムが追加されました。
・Maps
地図アプリでは、移動手段に自転車が追加されます。また、電気自動車の充電ステーションの位置を考慮したルートを検索できるようになりました。
・Translate
新たに「翻訳」アプリが追加されます。iPhoneに向かって話しかけると自動で言語を判断し、指定した言語に翻訳します。11言語に対応し、事前にダウンロードしておけばオフラインでも使用可能です。
・Home
スマートホームを制御するHomeアプリは、新しいアクセサリーを追加すると便利なオートメーション機能をおすすめしてくれるようになりました。アプリのデザインも一新され、優先してチェックするべきアクセサリーをトップに表示します。他にも、玄関のモニターフォンが来客の顔を認識し、指定した人が訪れたときだけ通知するよう設定できるようになりました。
・Car keysとCarPlay
iPhoneが車の鍵になる新機能が追加されます。
・App Clips
アプリをインストールしなくても特定の機能を使える機能です。例えば駐車場、カフェ、自転車のレンタルなどを利用する際、タッチやバーコードの読み取りなどで必要な機能を実行します。
iPadOS 14
・ウィジェット
iOS 14と同じように、ウィジェットに大幅な変更が加えられます。
・Scribble
Apple Pencilで書いた手書きの文字をテキスト化することができます。ウェブサイトの入力欄などにもApple Pencilで書くことが可能です。さらに、Apple Pencilで取り消し線を引くことでテキストを削除したり、丸で囲むことで選択したりもできます。
・AR
新しいiPad ProにはARKit 4とLiDARスキャナーが搭載され、より進化したAR体験を提供します。
macOS Big Sur
・デザインがアップデート
アプリのアイコン、ウインドウ、メニューバー、ツールバーなど様々な箇所のデザインが刷新され、より使いやすくなります。
・コントロールセンター
iOSと同じようにコントロールセンターが追加されました。
・通知センター
通知センターもアップデートされています。通知はアプリごとにグループ分けされ、ウィジェットもサイズを変更できるなど自由度が高くなり、一目で必要な情報が分かるようになります。
・Safari
Safariのスタートページに、リーディングリスト、お気に入りなどを表示するように設定できるようになります。また、App StoreでSafariの追加機能を探せるようになりました。表示速度も従来に比べて大幅にアップし、Chromeより50%も速いということです。
watchOS 7
・文字盤画面が進化
複数のアプリのデータを文字盤画面に集約して表示するなど、カスタマイズの自由度が高くなりました。カスタマイズした文字盤をシェアしたり、他の人が作った文字盤を使ったりできます。
・Sleep App
睡眠をトラッキングしたり、寝る時間にリマインダーを表示したりする機能で、睡眠の質を高めます。
・Handwashing
手を洗い始めるとモーションセンサーやマイクが検知し、推奨される手洗い時間である20秒のタイマーが自動で始まります。手洗い時間が20秒に満たないと注意したり、家に着くと手を洗うように促してくれます。
このように、どのOSも充実したアップデート内容となっています。各OSは2020年秋にリリースされる予定です。