スマートハウスとは
スマートハウスとは、住宅全体のエネルギー管理や、断熱などの住宅性能による「省エネ」、太陽光発電による「創エネ」、発電されたエネルギーを貯蔵する「蓄エネ」の3つの柱をもとに、CO2排出量の削減を実現する住宅のことです。
2011年、東日本大震災後の電力危機を経験した日本では、各家庭のエネルギー消費量を抑制する省エネ住宅、スマートハウスに注目が集まりました。2012年には、国をあげて新築住宅のスマートハウス化が進められていくことになります。政府は2030年までにすべての住宅をスマートハウスにするという計画を掲げていて、スマートハウス市場の規模はこれから拡大していく見込みです。
スマートハウスとよく似た言葉に「スマートホーム」があります。スマートハウスが省エネにフォーカスしている一方、スマートホームはIoTによって生活を便利に、安全にすることに着眼しています。最近では、スマートハウスとスマートホーム両方の特徴を持ち、利便性と省エネを実現する住宅も登場しています。
スマートハウスの中核「HEMS」
スマートハウスを語る上で最も重要なキーワードが「HEMS」です。HEMS(ヘムス)は、Home Energy Management Systemの略で、住宅内のエネルギー状況を管理するシステムを指します。
HEMSは、住宅内のエネルギーの消費状況、太陽光発電による発電量などを「見える化」し、無駄な消費がないよう、自動で最適化してくれるものです。例えば電気料金が安い夜中などの時間帯に、洗濯機や湯沸かし器を自動で稼働させたり、気温に応じてエアコンの温度を制御したりすることができます。
自動制御での省エネはもちろん、住人の省エネ意識も高まります。エネルギー使用量を「見える化」することによって、どこでエネルギーを無駄遣いしているか、さらに省エネできる部分はあるかが分かるようになるからです。また、タブレットやスマートフォンなどから家電の遠隔操作が可能なので、外出先からでも無駄にエネルギーを消費している家電のスイッチを切ることもできます。
HEMS導入のメリット
HEMSの導入によって、CO2排出量の削減、光熱費の節約が期待できます。加えて、住宅の断熱性能・気密性能を高めることや、暖房の熱源に太陽熱を使うこと、自然の光や風を取り入れて活かす設計手法などの工夫で、さらなる省エネ、節約が見込めます。
太陽光発電によって消費エネルギーをまかなえれば、ZEH(ゼッチ)、ネット・ゼロ・エネルギーハウスも実現できます。消費エネルギーを節約し、新たにエネルギーを生み出すことで、住宅全体のエネルギー収支をゼロにしようというものです。
HEMS導入のデメリット
一つ目のデメリットには、HEMS導入にコストがかかることが挙げられます。HEMS導入によって節約できる光熱費と、導入にかかるコストを比較したくても、明確につかめないのが現実です。
しかし、HEMS導入には国や多くの地方自治体が補助金を出しています。政府が2030年までにすべての住宅にHEMSを導入することを目指しているためです。
二つ目は、HEMSに対応している家電が少ないことです。家電をHEMSに接続するには、家電がHEMS専用の通信規格「ECHONET Lite」に対応している必要があります。今後HEMSの推進が進むにつれて、対応家電は増えていくと考えられますが、HEMS導入の費用だけでなく、家電の買い替えにも費用がかかることに注意しなくてはなりません。
HEMS導入の初期費用
HEMSの導入には、メーカーによって費用にばらつきがあるもの、5万円から20万円の費用がかかります。
HEMSを提供する企業の一つPanasonicの公式ホームページで、HEMS導入にかかるコストが紹介されています。
新築住宅にHEMS(AiSEG2)を導入する場合
スマートコスモ(HEMS対応分電盤) | 108,500円 |
AiSEG2(モニター付き) | 40,000円 |
合計 148,500円 |
既存住宅にHEMS(AiSEG2)を導入する場合
エコーネットライト対応計測ユニット | 69,800円 |
AiSEG2(モニター付き) | 80,000円 |
計測回路増設アダプタ用分岐増設CTセット | 30,000円 |
計測ユニット用電源ブレーカー | 2,850円 |
合計 182,650円 |
国や地方自治体の補助金