スマートホーム(スマートハウス)情報サイト

iedge

スマートハウスのような「建売のスマートホーム」は登場するのか?

更新日:

スマートハウスとスマートホームの違い

スマートハウスとスマートホーム、言葉自体は非常に似ているうえに両者に明確な定義というものは存在しないのですが、一般的には次のような認識で分類されています。

・スマートハウス
2011年頃から日本でも広く普及が始まった、省エネ・創エネ・蓄エネといったエネルギー・マネジメント重視の設備が設置されている住宅を指します。HEMSと呼ばれるシステムが導入されている住宅はほとんどスマートハウスと呼べます。

HEMSは太陽光発電や太陽熱温水システムなどによって生み出される電気や熱エネルギーを管理したり、各家電の消費電力を把握したり、センサーで収集した温度や湿度などの情報を元に住宅のエネルギー消費を最適化したりするシステムです。

このHEMSに加えて、太陽光発電などの創エネ機器、家庭用蓄電池などの蓄エネ機器、あるいはスマート家電などが1台以上設置されていれば、その住宅は基本的にスマートハウスということになります。

・スマートホーム
スマホやタブレット、PCとエアコン、テレビ、照明機器、オーディオ、玄関の鍵、ドアセンサー、窓センサーなど、家中のあらゆるモノがインターネットに繋がって相互接続され、アプリ等を介して制御できるようになった住宅をスマートホームと呼んでいます。

ハブやゲートウェイを介して、相互接続している各デバイスを一元的に制御できるほか、外出先からでも、スマホで遠隔操作することで各デバイスの制御が可能になります。なお、海外ではコネクテッド・ホームという呼び方が一般的です。

定義がないため、解釈の仕方は人それぞれ異なる部分もありますが、広義でこのような違いがあるという点を押さえておきましょう。

 

建売のスマートホームができる可能性は?

スマートハウスの建売については三井不動産レジデンシャル、積水ハウス、ダイワハウス、ミサワホームなど大手ハウスメーカー各社が行っていますので、皆さんも街中などで見かけたことがあるのではないでしょうか。

一方、スマートホームの建売は今後出てくる可能性はゼロではありませんが、現時点で見かけることはまずありません。

スマートホームを構成する要素は、インターネット接続環境、Wi-Fi、Bluetooth、赤外線、ZigBeeなどの無線規格、各デバイスをコントロールするためのハブやゲートウェイ、そして末端のスマートデバイスです。

それらをスマホやタブレットにインストールしたアプリを通じて制御する、というのが現行のスマートホームの一般的なシステムです(Amazon EchoやGoogle HOMEなど、音声コマンドによる制御が可能なデバイスもあります)。

スマートハウスのように「HEMS+省エネ機器」「HEMS+蓄エネ機器」など分かりやすければ良いのですが、スマートホームの建売に関しては、何百種類以上にも及ぶデバイスの中から設置する機器を選ぶ難しさや、通信規格の異なるデバイス同士の連携の問題などがあります。

特に、ユーザーの好みも大きく影響するスマートホームの建売となると、どんなメーカーのどんなデバイスをユーザーが好む傾向があるのか、またメーカーが異なるデバイス同士が問題なく相互接続し、正常に連携してくれるのかといったことまで把握し、問題があれば解消させておく必要があります。

さらに、スマートホームの建売にユーザーが入居した後のマネジメント(ビッグデータの管理はどうするのか、メンテナンスや故障時の修理などはどうするのか等)やインターネットセキュリティなども必要で、整備されていない部分が多いのも現実です。

このように、初めからスマートデバイスが導入されていて、入居後すぐにスマートホーム・ライフが始められるという建売住宅は現段階では難しい面もあり、そもそもまだ需要がないかもしれないという不透明さもありますので、登場するとしてもしばらく先になるでしょう。

 

ただし将来的には「スマートホーム化した建売住宅」が登場するかもしれない


とはいえ、建設の分野においてもスマートホーム関連のAI技術やIoT化はどんどん進んでおり、HEMSや創エネ機器、蓄エネ機器以外にも、様々なスマートホーム関連デバイスを開発したり、それぞれのデバイスが問題なく相互接続して連携するためのプラットフォームやデータを蓄積したりするためのクラウドの開発などが進んでいるのは事実です。

ハウスメーカーがHEMS、創エネ機器、蓄エネ機器などに加えて各スマートデバイスやプラットフォームを開発できるようになれば、ワンストップで家が丸ごとスマート化した住宅を建てることができますので、スマートホームの建売が登場する可能性は今よりも高くなります。

あるいは、もしハウスメーカーがそれらを開発しなくても、それぞれの技術を持っている企業同士が協業することで、スマートホームの建売の実現に大きく近づくのではないでしょうか。

消費者が一式揃っていて入居後すぐにスマートホームを始められる建売を好むか、自分で好きなデバイスを購入して自分流にカスタマイズしたスマートホームを好むかは分かりませんが、将来的には登場する可能性があるかもしれません。