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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.11.07
2019.12.18

顔認証とは?IoT時代には欠かせないその技術や事例について【テクノロジー・AI入門編】

記事ライター:KEITA.SH

スマートフォンをはじめとしたデバイスにおいて、大きな課題となっているのがセキュリティです。従来のようなパスコードの手入力ではセキュリティ面で完璧とはいえず、多様なセキュリティが誕生しました。なかでも現在注目されているのが、「顔認証」技術です。

顔認証はあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」とも関係が深く、顔認証により来店を認識し、無人で決済を済ませてしまうシステムの研究も進んでいます。また「iPhone」などのスマホでも簡単に顔認証を使えるようになり、私たちの身近なところでも顔認証技術を活用した事例が増えています。

今回は普及が進んでいる顔認証技術について、概要やメリット・デメリット、具体的な事例などをご紹介していきます。

▼この記事でわかる!

  • 顔認証とは何か?
  • 顔認証技術が注目される背景
  • 顔認証技術を活用した事例

 

顔認証とは?

顔認証とは、その名の通り人間の顔を認識できるコンピューター技術です。

まず顔認証用のサーバーに、認証する人の顔のデータを暗号化して保存しておきます。そしてカメラなどでユーザーの顔を読み取り、認証を行います。

確認する際は、顔検出と顔照合、2つのステップを踏みます。まず顔検出ではカメラで撮影した画像の中から顔とみられる部分を抜き出し、目・鼻・口といった顔の特徴を検出します。そして顔照合では、検出した特徴をもとに顔画像の補正を行い、サーバー内の顔データと照合して本人かどうか確認します。

顔認証では目・鼻・口など必要な情報が取得できれば、認証したい人が横を向いていても、表情を変化させていてもカメラで画像を読み取り、認証が可能です。また、年齢によって顔が変化したとしても、変化しない特徴を抜き出したうえで照合するため正しく認証できます。
 

顔認証技術が注目される背景

顔認証と同じようにセキュリティで利用される技術に、「指紋認証」や「静脈認証」などがあります。いずれも従来のパスコード入力などの認証方式よりはるかにセキュリティが高く、直感的に認証を行えます。

ただし指紋認証や静脈認証は装置に指や腕をつけて認証を行うため、正しくデータを読み取らせるには少しコツが必要です。しかし顔認証であれば、多少顔の角度が異なっていても正常に読み取ることができるため、セキュリティの解除に慣れやコツは必要ありません。

また顔認証の精度も年々向上しています。

従来の顔認証技術は、本人の画像を複製して認証に使えばロックを解除できるケースもありました。しかし現在では、動画を用いて顔の動きをとらえながら顔認証を行う技術も登場し、不正防止の手段としてより有効になっています。

またiPhoneに搭載されている「FaceID」は赤外線をスマホから照射し、ユーザーの顔の特徴を3Dで認識してセキュリティ認証を行えるので、こちらも不正防止に効果的です。

このようにユーザーにとって最も受け入れられやすく、精度も向上していることなどから、顔認証はセキュリティ分野において今もっとも注目を集めています。

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顔認証のメリット・デメリット

 

顔認証のメリット

顔認証には、次のようなメリットがあります。

セキュリティ性が高い

顔認証の分野では、先ほど紹介した動画認証や3Ð認証技術も登場し、極めて高い精度で顔を認識できるようになっています。

例えばスマートフォンでアカウントを入力するときは、外部へアカウント情報が漏洩してしまうと、簡単に不正ログインされて被害が発生してしまいます。しかし顔認証に使うデータはサーバー側で強固に暗号化されており、送信するデータはユーザー側の顔データだけです。ですからパスワードのように盗まれる心配も少なく、安全に認証を行えるようになります。

スムーズに認証可能で、自動特定も可能

例えば大規模な会場で開催されるイベントで本人確認を行う場合、1人1人の顔を直接見ながら本人確認を行うのは非常に大変な作業であり、スタッフにかかる負担も大きくコストもかかります。顔認証ではカメラに顔を向けてもらうだけで、すぐ認証が完了します。少ないスタッフでも認証作業を済ませられるようになり、コスト削減も狙えます。

また顔認証と動画認証を組み合わせれば、カメラ内に映った人物を自動で特定することも可能です。これにより来場者はカメラの前で足を止めずに、通過するだけで自動的に認証が完了するようになります。また、もし会場内に不審な人物が紛れ込んでいても、顔認証により顔を特定して行動を予測できるので防犯にも活用できます。

 

IoTで他機器との連携も可能

顔認証は、IoTとの連携でその真価を発揮します。例えば先ほどの例で挙げたように、来店時に顔認証を行い決済システムと連携、自動で決済を済ませたり、ユーザーの行動パターンを表情などといっしょに取得してマーケティングに活用したりと、さまざまなことが可能になります。

IoTはM2M(Maschine to Maschine)でやり取りする情報をクラウド上で共有することでシームレスなシステムが実現できます。認証までのレスポンスが速く、セキュリティの信頼性も高い顔認証は、IoTと相性のよい組み合わせと言えます。
 

顔認証のデメリット

顔認証には次のようなデメリットもあるので、忘れないようにしましょう。

システムによって精度にばらつきがある

顔認証は確かに精度が向上している技術です。しかし残念ながら、すべての顔認証システムが高い精度を実現できているわけではありません。

例えばiPhoneに搭載されているFaceIDは、赤外線画像と深度マップから立体的なデータに置換されたうえで判断されるため極めて精度は高いですが、一部の古いAndroid端末などでは顔認証でのロック解除に時間を要したり、メイクやメガネの有無によってもロックが解除できなかったりということが起こります。

またAmazonでは「Amazon Rekognition」という顔認証ソフトウェアを提供していますが、テスト段階において一般人と犯罪者を誤判定する問題が発生しました。このままの状態でたとえば政府関係の機関にAmazon Rekognitionが導入されていたら、大変な問題を引き起こしていたかもしれません。

このように世界各国の事例から見ても、実際に顔認証システムによっても信頼度に誤差が生じてしまいます。顔認証導入の際は信頼できる企業からシステム導入できるかが重要になってきます。

ちなみに日本ではNECが世界トップクラスの顔認証技術を有しています。動画認証など最新の技術をフルに活用して、極めて高い精度で人物特定ができるようになっています。実際に世界中でNECの顔認証システムの導入が進んでおり、世界的な政府会議などで利用されています。

プライバシーに関する問題

顔認証技術は監視カメラなどから自動で顔を特定して、不審者が紛れ込んでいないかなどの犯罪防止にも活用できます。しかし自動で顔を特定できる分、プライバシーにも気を使う必要があります。

例えば企業がマーケティングでカメラに映った顧客の顔を利用して、どんな商品が人気があるのかなどを詳しく調べたい場合、利用した顔データで個人を特定できてしまいます。マーケティングに顔データを利用する場合は、使用後速やかに破棄する、加工して特定できないように工夫する、などの対策が必要になってきます。

実際顔認証によって集まったデータがプライバシーを無視して使われないように、EU(ヨーロッパ連合)では「GDPR(General Data Protection Regulation)」を発行しています。この決まりは顔データを始めとする「バイオメトリクス(生体認証)」データを保管および使用する際は、細心の注意を払わなければならないとし、保管や使用方法の枠組みも提供しています。

いずれEUだけでなく世界各国でも、顔認証データをどう適切に取り扱うか法整備も含めて検討しなくてはいけません。
 

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顔認証の活用事例

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