iedge
  • iedge
スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.08.06
2019.11.26

AWS IoTとは?できることや仕組みなど基礎知識をわかりやすく解説【テクノロジー・AI 入門編】

記事ライター:iedge編集部

あらゆるものにモジュールを搭載してインターネットに接続できるようにするIoT(モノのインターネット化)。インターネットに私たちの身の回りのものが接続すると、必要なときに必要な情報がリアルタイムで取得できたりと、生活の利便性が上がります。そしてIoTはビジネスでも利用され始め、IoTを企業で活用するための各サービスも提供されるようになりました。

ECサイトの大手であるAmazonはITソリューションサービスも提供しており、クラウドサービスのAWS(Amazon Web Service)は世界中で多くの企業が導入しています。そして今回ご紹介するのが、IoTを制御・管理するときなどに利用する「AWS IoT」です。

今回は企業がIoTシステムを構築する際に利用しているAWS IoTについてその概要や理解に必要な関連用語、そして仕組みや活用事例など、幅広い観点から解説します。

▼この記事でわかる!

  • AWS IoTの意味や仕組み
  • AWS IoTの関連用語
  • 各企業の導入事例

 

AWS IoTとは

はてなマークの模型

AWS IoTとは、AWS経由でIoTデバイスと接続し、連携するためのサービスです。サービスの元になっているAWSはAmazon社内のビジネス課題を解決するために開発されたシステムのノウハウが活かされており、必要なときに必要な分だけコストを抑えて利用できるクラウドサービスのメリットが最大限に発揮されています。

AWSのメリットは、「インターネット経由でIoTデバイスとAWSの接続及びデータ送受信などを安全に行える」点です。

特性上、IoTデバイスには必ず端末を制御するサーバーが必要不可欠になります。そしてAWSを利用してIoTデバイスの制御を行う場合、求められるのがセキュリティを確保した状態でデータ送受信などを行うことです。

AWS IoTでは高水準のセキュリティ技術が利用できるので、インターネット上からAWS経由でIoTデバイスを制御する際も安心して操作が可能です。またそれだけでなくIoTデバイスをパソコンやスマホから操作できるようにするアプリケーション制作なども可能で、ポテンシャルの高いサービスです。
 

AWS IoTの関連用語を解説

本の見開きからアルファベットが飛び出す様子

ここからは、AWS IoTを理解するために必要な関連用語を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

MQTT

「MQTT (Message Queue Telemetry Transport)」はIoTとAWS間のデータ送受信時に使われるプロトコル(インターネット上の通信の決まり)です。IT大手のIBMが開発しました。

MQTTは「軽量であり、低消費電力でデータ通信ができる」点から、IoTのデータ通信には最適なプロトコルです。例えば大規模なネットワークを構築できなくても軽量で素早くデータ通信ができるので、IoTの制御をスムーズにAWS上で行えます。

またIoTにとって、電力の大量消費は大敵です。MQTT利用時は消費電力が「HTTPS」など他プロトコルを利用するよりも少ないので、安心してIoTデバイスのデータ通信が可能です。

Zigbee

Zigbee」とは無線通信規格の1種です。IoTとAWS間の接続設定を簡単に行えるだけでなく、一度に大量のIoTデバイスをAWSに接続することも可能になります。そしてデータ通信時の消費電力もMQTTと同じく少なくて済みます。

 

EnOcean

「EnOcean」もZigbeeなどと同じく無線通信規格の1つで、「エネルギーハーベスティング」という画期的な技術を採用しています。エネルギーハーベスティングでは電磁波など日常で発生するエネルギーから電力を供給でき、効率よくIoTデバイスに電力供給ができます。

EnOceanを使ったIoTデバイスを利用すれば、ユーザーはIoTデバイスの電力不足に悩まされることはほぼなくなるでしょう。

SQL

「SQL(Structure Query Language)」は、AWS上にあるIoT制御用のデータベースなどを操作するときに使うプログラミング言語です。AWSには「ルールエンジン」という、適切にIoTとAWS同士の通信を行うための機能があります。

ルールエンジンなどAWSの各機能を実行するために、SQLは利用されています。

IoTゲートウェイ

「IoTゲートウェイ」というのは、IoTからAWSにデータ通信する際の門戸となる端末のことです。通常IoTデバイスから直接AWSにデータを送信するには大量の電力が必要で、また接続が切れてしまう可能性もあります。IoTゲートウェイを通してIoTデバイスのデータをAWSに送信すれば、IoTデバイスの低消費電力化が可能です。

それだけでなく複数のIoTデバイスのデータをまとめてAWSに送れるようにして、データ通信を効率化してAWSの負担を減らす役割も担います。

今まで見てきたように、AWS IoTでは効率的に、低消費電力でデータ通信できるようにする技術が多数利用されています。

 次ページ >
AWS IoTの仕組み

AWS IoTの仕組み

AWS IoTの仕組みのイメージ画像

AWS IoTは、次のような仕組みになっています。

  • デバイスゲートウェイ
  • メッセージブローカー
  • ルールエンジン
  • セキュリティとアイデンティティサービス
  • レジストリ・グループレジストリ
  • デバイスシャドウ
  • Device Shadow サービス
  • デバイスプロビジョニングサービス
  • カスタム認証サービス
  • ジョブサービス

 
少し項目が多いですが、1つずつ見ていきましょう。

デバイスゲートウェイ

前述の通りIoTデバイスとAWS間の接続を取り持つ端末です。

メッセージブローカー

IoTデバイスと、AWSにインストールしているアプリケーション間のデータ通信を安全に行うために必要な仕組みです。

ルールエンジン

アプリケーションを構築するときに必要な仕組みです。SQLを利用してIoTデバイスから取得したデータを処理して、他の端末やクラウドサービスにデータを送信して連携を図ったりします。処理する際のルールはAWSを利用しているユーザー自身が定義します。

セキュリティとアイデンティティサービス

AWSの認証情報などを適切に管理して、安全にデータ通信するための仕組みです。

レジストリ・グループレジストリ

AWSと接続している各デバイスにIDを割り振る機能です。各デバイスに発行した証明書とIDを関連付けて、効率的なデバイスの管理を行うときなどに利用します。グループレジストリはレジストリをグループ化し、複数の端末をAWS上で同時に管理するための仕組みです。

デバイスシャドウ

AWSと連携している各デバイスの情報状態などを取得・保存する技術で、「JSON(「JavaScript」というプログラミング言語がベースのプログラムファイル)」が利用されます。

Device Shadow サービス

リアルタイムでAWSと接続しているデバイスの状態を同期するための仕組みです。

デバイスプロビジョニングサービス

ユーザーの需要などに応じてAWS上のデバイスをプロビジョニング(いつでも利用できるように準備する)ための機能です。

カスタム認証サービス

AWSユーザーが認証機能をカスタマイズできる仕組みです。

ジョブサービス

AWS上から各デバイスに、あらかじめ決められた操作を行うための機能です。AWSユーザーがジョブを定義した一連の操作査のことを「ジョブ」と呼びます。

このように複数の機能が連携しあって、AWS IoTが機能しています。

AWS IoTができること

IoTのイメージロゴ

AWS IoTを利用すると、次のようなことが可能になります。

  • 各IoTデバイスからのデータ収集が可能になる
  • 遠隔操作でファームウェアのアップデートなどが簡単になる
  • AWSを介したIoTデバイス同士の連携も可能になる

 

各IoTデバイスからのデータ収集が可能になる

AWS IoTを利用すると、接続している各IoTデバイスのデータを収集して、AWSに保存できます。保存されたデータは加工処理などを行いデータベース化。データベースを元に分析を行い、IoTデバイスサービスを提供する上でどこの工程に問題があるかなどを可視化して改善につなげられます。

またIoTデバイスの情報データを元に、IoTデバイスの異常を感知。故障する前に対応することで、無駄なコストの増加まで防げます。

遠隔操作でファームウェアのアップデートなどが簡単になる

AWS IoTを利用すれば、遠隔操作で各IoTデバイスをAWSのアプリケーション経由で操作可能になります。そして遠隔操作で古くなったプログラムのアップデートを行ったりして、IoTサービスの品質改善が簡単になります。

IoTデバイスの遠隔操作はセキュリティ上危険視する声もあるかと思いますが、AWS IoTではセキュリティもしっかり担保されており、暗号化された通信で安全にIoTデバイスの遠隔操作が可能になります。

AWSを介したIoTデバイス同士の連携も可能になる

AWSの真骨頂は、AWSを介して各IoTデバイス同士の連携が可能になることです。例えば近隣の交通状況を自動車内センサーで取得、その後AWSを介して処理を行い最適な交通ルートを決定してそのデータをカーナビへ送信すれば、ユーザーがスムーズに自動車運転できます。

このようにAWSを介して複数のIoTデバイスを接続・連携させることで、IoTサービスを利用するユーザーの利便性が一気に高まります。

 次ページ >
AWS IoTの活用事例

関連記事

未来の住まいがここに!スマホや声で家電を操作できる 大阪の最新スマートホームショールームに行ってきた

  大阪に新たなスマートホームの体験拠点が誕生した。 株式会社アクセルラボ(本社:東京都新宿区)は、ハウスメーカーやディベロッパー、管理会社などの不動産事業者向けスマートホームサービス「Sp ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2024.05.14

Roborock S8 Pro Ultraにロボット掃除機の未来を見た

ロボット掃除機を買い替えた  2023年10月、コロナ禍で少しだけ流行った地方移住ブームに乗り切れなかった私は、今更になって都内から地方都市への移住を果たした。東京都の地区40年-14平米ワンルームマ ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2023.12.04

着実な広がりを見せるスマートホーム市場〜最新の動向についてアクセルラボが発表〜

 スマートホームサービス「SpaceCore」(スペース・コア)などを手がけるアクセルラボが、消費者と不動産事業者を対象に「スマートホームに関する調査報告会」を行った。  同調査は、全国の18~69歳 ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2023.09.05

Qrio Smart Lockなら、鍵をシェアすることができて、スマホで解錠できる!

Qrio Smart Lockなら、まるで鍵を開けるかのようにスマホを操作するだけ Qrio Smart Lockは、スマートロックサービスです。 鍵をドアに設置する際の工事も不要です。鍵につけさえす ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2019.11.28

これからのスマートホームには欠かせないAIについて知っておこう!

そもそもAIって何? AI(Artificial Intelligence=人口知能)は、人間が行う様々な作業や活動をコンピューターなどで模倣し、人間と同じような知能の実現を目的としたソフトウェアおよ ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2019.11.28

人の感情に共感する次世代のAIロボット「JIBO」とは?

多くの可能性を秘めた新型AIロボット「JIBO」 JIBOは、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)のシンシア・ブリジール准教授により開発されました。 その後、2014年にIndiegogoのク ...

続きを見る
スマートホーム(スマートハウス)の記事 2019.12.03

Copyright© iedge , 2024 AllRights Reserved.