5Gって何?
「5G(ファイブジー)」とは、第5世代移動通信システムの略称で、1G、2G、3G、4Gに次ぐ無線通信システムです。現在日本国内で主流に使われているモバイル回線は4Gですが、世界中で5Gのサービス開始に向けた取り組みが進められています。
5Gには「高速・大容量化」「多数端末接続」「低遅延」という3つの特徴があります。これらの特徴については記事の後半で詳しく解説しますが、実際私達の生活にはどのような変化があるのでしょうか。
まず、通信速度が大幅に向上します。YouTubeやNetflix、オンラインゲーム等をより快適に利用できるようになるでしょう。また、超高精細映像のライブストリーミングを視聴できるようになったり、VRやARを利用してスポーツ観戦が劇的に進化したりと、新しいエンターテイメントも続々と登場すると言われています。
さらに、IoTの普及が加速し、生活の利便性が増すと考えられます。5Gが一度にインターネットに接続できるデバイス数は、4Gの10倍です。ありとあらゆるデバイスをインターネットに接続し制御できるようになるため、今後のIoT化に一段と拍車がかかるでしょう。
日本ではドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアが中心となり、2020年頃の5G導入を目指しています。
<最新情報:2020年11月20日追記>
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天の各キャリアで5Gサービスの提供が始まっています。
5Gはいつから始まるの?2020最新情報!
ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアは、5Gサービスの提供開始をいつ頃に予定しているのでしょうか。各社が発表している情報をチェックしていきましょう。
<最新情報:2020年11月20日追記>
2019年7月時点ではまだはじまっていなかった5Gですが、いつの間にか始まっていたという感覚の方も多いかもしれませんね。実は5Gのサービスが正式に始まったのは2020年3月からです。都市部を中心に、一部エリアで提供が始まっています。各キャリアの現状を見ていきましょう。
ドコモ
ドコモは、2020年春から商用サービスを開始する予定です。
また、2019年9月20日からプレサービスを実施すると発表しています。同日から開催されるラグビーワールドカップ2019に合わせて、スタジアムやライブビューイング会場でのマルチアングル視聴などが提供されます。
プレサービスが展開されるのは都市部だけでなく、地方も含めた全国各地で、地域ごとに特徴のある「地域に根ざした」サービスを準備しているとのことです。5Gに対応した小型端末が貸し出される形で行われ、ユーザーは利用料金がかかりません。
<最新情報:2020年11月20日追記>
大手キャリアの中では最も早く、2020年3月25日よりサービスを開始しました。
総務省より【3.7G/4.5GHz帯(3.6GHz、4.5GHz)】【28GHz帯(27.4GHz)】が割り当てられています。最大受信速度はサービス開始時点で「3.4Gbps」でしたが、6月の時点で最大「4.1Gbps」まで向上しています。
ただし、まだ江東区晴海(東京)、富士スピードウェイ(静岡)、横浜国際競技場(神奈川)、名古屋市中区(愛知)などごく一部のみとなっており、2ヶ月後や5ヶ月後など時間をかけて順次エリアを拡大していく予定となっています。
au
2020年3月末までに、5G対応端末の販売を開始すると発表しています。開始当初のエリア展開は4Gと組み合わせた「ノンスタンドアロン方式」、2022年3月以降に5G単独の「スタンドアロン方式」を展開する見通しです。
2019年9月には一般ユーザー向けのプレサービスの提供を開始する他、ドローン警備や高精細映像配信の用途を対象に、一部エリアで導入予定であるとしています。
<最新情報:2020年11月20日時点追記>
auはドコモから1日遅れの2020年3月26日に5Gサービスの提供を開始しました。総務省からは【3.7GHz帯(3.7GHz、4.0GHz)】【28GHz帯(27.8GHz)】が割り当てられています。
受信の最大速度はサービス開始時点で「2.8Gbps」でしたが、夏場以降は最大で「4.1Gbps」まで向上しています。東京・大阪・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡などのエリアで5Gサービスを利用できますが、ドコモ同様まだまだ限定的ですので、今後の展開に期待したいところです。
ソフトバンク
ソフトバンクは、2019年度から5Gサービスを開始する予定であると発表しています。
スタジアムの臨場感をVRで体験できるイベントを2019年夏以降に実施する予定です。また、オリンピックが開催される2020年には、遠隔地からVRやスマホで競技を視聴できるサービスの提供を目指しています。
<最新情報:2020年11月20日時点追記>
ソフトバンクは3月27日に5Gサービスの提供を開始しました。総務省からは【3.7GHz帯(3.9GHz)】【28GHz帯(29.1GHz)】が割り当てられています。
受信の最大速度はサービス開始時点で「2.0Gbps」でしたが、その後の情報は入手できませんでした。
また利用可能なエリアは、ほかのキャリアと同様に東京や名古屋、大阪、神戸、福岡、札幌や金沢など主要都市のごく一部といったところです。
このあたりはどのキャリアも同じような状況となっていますので、特定のキャリアだけがエリアを拡大していく、ということはなさそうです。
楽天(2020年11月20日追記)
3大キャリアに遅れること半年、2020年9月30日より5Gサービスの提供を始めたのが楽天です。
総務省からは、ソフトバンクと同じく【3.7GHz帯(3.9GHz)】【28GHz帯(29.1GHz)】が割り当てられています。
新規参入&サービス提供開始時期が遅いこともあり、3大キャリアと比べるとより限定的なエリアとなっています。2020年11月14日時点、北海道・埼玉・東京・神奈川・大阪・兵庫のごく一部でのみ、5Gサービスを利用することができます。しかしその分、2,980円のプラン料金が1年無料など大胆な戦略も目立ちます。
全国的に使えるようになるのはいつから?
お伝えしたように、5Gは始まっているのですがまだ一部エリアでしか利用できません。そもそも5G対応の端末を持っている方もそれほど多くないため、利用可能なエリアは急拡大するというよりも徐々に広がっていくと考えておいたほうがよいでしょう。
ちなみにソフトバンクは、2021年12月までに人口カバー率90%以上を目標に掲げています。おそらくほかのキャリアも大きな差はないと思いますので、2022年頃にはほぼ全国的に5Gが利用できるようになる、と考えてよいでしょう。
ただし安定して利用できるかどうかとなると話しは別であり、未知数です。
「5G」の詳しい特徴は?
それでは、5Gの3つの特徴を詳しく見ていきましょう。
高速・大容量化
5Gで1秒あたりに送信できるデータ量は、最大20Gbpsで、単純計算で4Gの約25倍です。現在国内で主に使われている回線と比較して、実質的には約100倍高速化すると言われています。
ウェアラブルデバイスの普及や、画像や動画をメインとしたSNSの流行、そして4Kや8Kなど動画自体の大容量化によって、データの通信量は今後大幅に増えていくでしょう。2020年のデータ通信量は、2010年の1,000倍になると予想されています。
エンターテイメントだけでなく、医療や教育、セキュリティなど様々な場面で動画コンテンツが主流になっていく中、これらの大容量コンテンツをユーザーが快適に利用できるようになるのです。
超多数端末接続
IoT(Internet of Things)、M2M(Machine to Machine)の普及によって、スマートフォンだけでなく、あらゆるものがインターネットに接続されるようになりました。時計や靴、家電製品といった身近なものから、電力やガスのメーター、農業や畜産業において利用されるセンサー、自動車や電車まで、「モノ対モノ」の通信は爆発的に拡大しています。
総務省の「平成30年版 情報通信白書」では、世界におけるIoTデバイスの数は2017年の約270億個から、2020年に約400億個にまで増加すると予測されています。
現在より極めて多くの端末がインターネットに接続されることになるので、一度につなぐことができる通信機器の数を大幅に増やす必要があります。
4Gでは、1平方キロメートルあたり10万デバイスをインターネットに接続することができますが、5Gはその10倍となる100万デバイスを接続することができます。
超低遅延
5Gは、ネットワークの遅延、いわゆるタイムラグが1,000分の1秒以下と非常に小さいのも特徴です。
例えば、LINEやスカイプなどのインターネット回線を利用した通話でのタイムラグが少なくなるので、遠隔会議等のストレス減りそうです。スポーツ観戦など、リアルタイム性が重視されるエンターテイメントの質も向上するでしょう。
また、5Gの超低遅延は、自動運転や遠隔医療の分野で威力を発揮することが期待されています。
例えば、自動運転においては、車にセンサーやカメラを搭載し、それらのデータを車両同士で送受信しあうことによって事故を回避する、といったシステムの実現に5Gが不可欠です。より安全で正確な遠隔手術や、介護ロボットを使用した遠隔介護もできるようになります。
5Gの導入によって、私達の生活はますます便利に、楽しくなりそうです。2019年のプレサービス、2020年の導入開始が楽しみですね。
「5G」を利用するにあたっての注意点
5Gサービスの利用に際して注意点がありますので、最後にお伝えします。
対応端末が必要なケースがある
たとえばドコモでは、5G契約をする場合5G対応の機種が必要と注意喚起しています。このように、お使いのスマホが5Gに対応しているかどうかは事前に確認しておく必要があります。
5Gのメリットを十分に享受できない可能性がある
お伝えしたように、まだまだ5Gを利用できるエリアはごく一部です。
早まって5G対応のスマホに買い替えたはいいものの、結局お住まいのエリアでは使えなかった、対応エリアだったが4Gに切り替わってしまうといったケースが想定されます。
5Gのメリットを十分に受けられない可能性がありますので、エリアの拡大を待つのが賢明でしょう。
機種変は慎重に
もちろんほしい機種があり、それが5G対応であれば言うことはないのですが、今の4Gのように「当たり前」になるまでには数年かかる見込みです(4Gも実質5年ほどかかりました)。
その間は4GやLTE、3Gのお世話になるはずですから、5Gのみならず4Gなどの通信規格にも対応している機種を選ぶことをおすすめします。