Amazonは長年にわたって自動車に搭載するインフォテインメントシステム開発に注力し、同社は音声認識AIを搭載したクレジットカードと同じサイズの「Eco Auto」を開発に成功したと発表しました。車のダッシュボードに置くだけで、インフォテインメントシステムを搭載していない車でも音声だけで操作することができます。
ただ、導入にあたっての問題点は車に搭載しているソフトウェアです。ほとんどの大手自動車メーカーはすでにAppleやGoogle独自のソフトウェアをインフォテインメントシステムとして使用しています。
大手自動車メーカーはブランドロイヤリティー、ユーザーのデータへのアクセス制限、機能の不具合が発生する恐れがあることを懸念して、Echo Autoの搭載を望んでいませんでした。そのため現在、新車が搭載しているオペレーションシステムはタッチスクリーンベースのCar playとAndroid Autoが市場を独占しています。
同社が提供しているAlexaの機能は音声を認識するので、従来のタッチスクリーンベースのOSよりも優位性はあります。しかし、自動車メーカーのToyota、BMW,Ford、今週発表したAudiはAlexaをインフォテインメントシステムとして導入すると発表しましたが、すべてのモデルに適用するわけではありません。
以前FordはAlexaをSYNC3システムに取り入れた際に、リモートスタート/ストップ、ドアのノックの機能が制限されたと発表しています。
同社は車でAlexaを搭載する様々な方法を試してみましたが、開発は一向に進みませんでした。パナソニックは同社と共同でAlexaを搭載したインフォテインメントを開発中ですが、今のところ製品がいつリリースされるか不明です。
その一方でAnkerはAlexa対応のデバイスをリリースしました。こちらはEco Autoの機能と似ていましたが、Bluetooth接続などいくつかの問題がありました。
そして、ようやく先月に同社はAlexaをインフォテインメントシステムである「Alexa Auto SDK」をリリースし、自動車メーカー業界に一石を投じました。その後Echo Auto を公表し、これまでの企業努力が報われる製品として期待されています。
また、同社の技術と Anker 製のドングルを組み合わせれば、より洗練された製品開発が可能であり、人々により快適な車内環境を提供できると考えられています。
「将来にわたって自動運転の自動車が製品化され、車を運転するという本質が変化してくる」と多くの自動車メーカーは考えています。その中で、Alexaが別の方法で車内を快適にする方法ができれば、さらに意味のある製品になるかもしれません。
少なくとも他の自動車メーカーはそれを認識していて、たとえばGMは車内でショッピングができる「Marketplace」というソフトウェアを開発しました。
さらに2018年9月、日産と三菱自動車はGoogle社が車内インフォテインメントシステム事業に乗り出すと発表しました。さらにAudiとVolvo社も同様に、Android Auto を採用すると公表しています。
Googleによる車内インフォテインメントシステム市場進出が進めば、同社はさらなる苦境に追い込まれます。つまり今後、企業同士の車内インフォテインメントシステム事業は激化するでしょう。
同社は車内用のAlexaをリリースする上で、様々な問題に直面してきました。しかし、戦略をたて、実行していくことで、長期的に同社は業績を拡大することができます。今後Amazonが車内インフォテインメントシステム事業のマーケットを拡大するためには、何らかの場つなぎの解決策が必要になるでしょう。