電機メーカーNECについて
NEC(日本電気=Nippon Electric Company)は、住友グループの電機メーカーです。同社のノートパソコンを使っているという方も多いのではないでしょうか。
詳細な沿革は割愛しますが、近年ではWi-Fiネットワークを活用してクラウドと連携し、センサーで人を検出すると見つめたり話しかけたりする一般家庭向けロボット「PaPeRo petit」の開発など、ITやIoT事業にも力を入れています。
そんな中、2017年6月には経済産業省のスマートホームに関するデータ活用環境整備推進事業への参画が発表され、現在積水ハウスが実施している実証実験においてIoTプラットフォーム基盤技術を提供しています。
IoTプラットフォーム基盤技術とは?
ここ数年でIoT技術が大きく進化して家庭内にある様々な機器がネットワークで繋がり、それらのデータを活用することで新たなビジネスモデルの創出、既存のビジネスの変革、エネルギーの効率利用化などが期待されています。
しかしながら、各家庭にあるそれらの機器はメーカーが統一されていないことがほとんどで、例えばA社のリモコンでB社の製品を作動させるなど、機器同士が連携・連動するということはほとんどありませんでした。
簡単に言うと、エアコンにはエアコンのリモコンが、テレビにはテレビのリモコンが、オーディオにはオーディオのリモコンが必要であることをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
NECではパソコン開発で培った技術を活かして、これらの課題を解決するべく「各メーカー間で統一されていないIoT機器のデータ形式と通信方式」の違いを解消し、機器同士がより簡単に連携・連動できるような技術を開発しています。
それが、データ活用環境整備推進事業で提供している「クラウドベースのIoTプラットフォーム基盤技術」であり、各メーカーの機器が連携することこそがNECが目指しているスマートホーム(スマートハウス)の形という訳です。
NECのクラウド型HEMSと家庭用蓄電システム
NECがすでに提供しているスマートホーム(スマートハウス)製品やサービスには「クラウド型HEMS」と「家庭用蓄電システム」があります。
・クラウド型HEMS
リビング、キッチン、ダイニングなどの各部屋、エアコンやIHヒーターなどの各機器に合計8回路まで消費電力量を測定して表示してくれますので、「どこ(なに)でムダが生じているのか」が一目で分かります。
他にも、スマートメーター、太陽光発電システム、蓄電システムなどと連携させることでそれらのリアルタイムな状況(発電中・蓄電中・売電中・消費中など)も一目で把握することができます。
また、電気会社との契約を元に換算した概算の電気代も時間ごとに表示されるため、消費量が多い時間帯の把握や節電に対するモチベーションを高く維持することも期待できます。
HEMS標準インターフェースの「ECHONET Lite」対応の家電製品やエネルギー機器であれば、外出先からでもスマホやタブレット一つで情報取得、遠隔制御、自動運転への切り替えなどが行えます。
・家庭用蓄電システム
リチウムイオン電池を搭載した家庭用の小型蓄電システムは、電気をムダなく蓄えて必要な時に使うことができるシステムです。
例えば電気料金が割安になる深夜の時間帯に蓄電しておいて、昼間などに使うことで電気料金を抑えることもできますし、地域の消費電力ピーク時間帯に電力量の消費抑制に貢献することも可能です。
また、太陽光発電システムと連携させると、できるだけ太陽光発電システムで発電した電気を売電する「経済モード」、できるだけ電気の自給自足を目指す「グリーンモード」などを設定でき、より高いエネルギーの効率化を実現できます。
なおこの蓄電システムは、多くのメーカーの太陽光発電システムとの連携が可能ですので、すでに設置済みという場合でも連携できるケースがあります。
NECも参画している実証実験によってさらに広がるスマートホームの可能性!
経済産業省が主体となって行われている今回のデータ活用環境整備推進事業における実証実験ですが、まずは各メーカーの様々なIoT機器が正常に連携するかどうか、この環境の整備が最大の目的です。
日本では今はまだそこまで大きく取り上げられていませんので、もしかするとこの取り組み自体を初めて知ったという方も多いかも知れません。
ここにNECが参画しているという訳ですが、まず環境の整備がクリアできれば、そこから収集したあらゆるデータを元に、個人のニーズに応じたタイムリーかつ細やかなサービスを創出できる可能性が高くなります。
加えて高齢者の一人暮らしにおける健康管理、遠隔医療の実現、災害時の救助・支援など便利さ快適さのみならず、様々な社会貢献の可能性も秘めています。
実証実験の結果にはぜひ、注目したいところです。そして、今後のNECのスマートホーム(スマートハウス)の取り組みからも目が離せません。