米国食品医薬品局は4月11日、診断結果を出すのに専門医を必要としない人工知能診断ソフトウェアを初めて承認しました。
IDx-DRというこのソフトウェアプログラムでは、網膜の写真を分析することによって眼疾患を検出可能です。
看護師や医師が、特別な網膜カメラで撮影した写真をアップロードすると、IDx-DRのアルゴリズムはまず、アップロードされた画像が結果を得るのに十分な画質であるかどうかを判断します。
次に、画像を分析して、患者が糖尿病性網膜症を有するか否かを判定します。糖尿病性網膜症は糖尿病の合併症の1つで、網膜の毛細血管が血糖によって損傷した状態です。
血管が損傷すると血液が詰まるようになり、網膜が酸欠状態になります。それを解消するために新しい血管が作られていきますが、作られたばかりの血管は非常にもろいため、容易に出血し、網膜剥離等に繋がります。
900あまりの画像を使用して行われたIDx-DRの臨床試験では、網膜症画像は約87%の確率で検出され、健康な網膜の画像も約90%の確率で識別されました。
IDx-DRの特筆すべき点は、その自律性で、診断に専門家を必要としない点であると、開発者のマイケル・アブラモフ氏は語っています。眼科専門医ではない医師や看護師がこの技術を使用できるため、診断をより容易にすることが可能になるとともに、待ち時間の改善等も期待されています。
病気を診断するAIアルゴリズムはここ最近のトレンドで、GoogleもDeepMind AIで眼疾患の発見を研究しています。今回FDAがIDx-DRを承認したことで、この動きが加速し、将来的にその他の疾患も診断可能になったり、より多くの診断アルゴリズムが登場したりする可能性があります。
ただ、AIによる診断は、患者にとってより便利であり、もしかしたら医師よりも正確かもしれない一方、診断が間違っていた場合に誰が責任を負うのかという問題も懸念されています。