AIマンションで実現可能なセキュリティ機能とは?
まずは、AIマンションに住むことによって実現可能となるセキュリティ機能について考えてみましょう。
AIが搭載されたスマートマンションは、利便性、快適性、経済性など、さまざまなメリットを感じることができますが、セキュリティにおけるメリットも見逃せません。
たとえば、AIマンションでは、AIがユーザーの顔を覚え「この人はこの部屋の居住者である」と認識してくれるようになります。ユーザー以外の人がモニターに映ると、すぐに録画を開始したり、スマホに通知してくれたりもします。
「出社してマンションの部屋には誰もいない時間帯のはずなのに、窓開閉センサーや人感センサーが反応した」といったケースがあれば、AIが即座にスマホやタブレットに通知し、ユーザーにセキュリティ面で異常があることを知らせてくれます。
もともと、アメリカでスマートホームという概念が誕生して普及したきっかけは、不在時の家の様子が気になるという「セキュリティ」機能に対するニーズが高まったためと言われています。
スマートホームの登場によって、「留守中の家」のこれまで見えなかった部分を可視化できるようになりましたが、さらにAIを組み込むことによってより高度なセキュリティ機能を実現しています。
実際のところ、AIマンションにおけるセキュリティ機能はかなり充実しており、非常に高い性能を誇っています。
AIマンションのサイバーセキュリティ対策はどうなっている?
次に、AIマンションではサイバーセキュリティに対してどのような策を講じているのでしょうか。
アメリカのBOT社とともにAIマンションを手がける株式会社インヴァランスのサイバーセキュリティ対策を例に挙げると、次のようになります。
まず、サイバーセキュリティ対策の重要性が問われる事態として考えられることの一つは、スマホを紛失したり、盗難にあったりした時です。
インヴァランス社によると、もしもAIマンションの居住者がスマホの紛失や盗難にあった場合、サポートセンターに連絡することで、マンション側のリモート操作を受け付けないようにするというセキュリティ対策を講じているとのことです。
また、インヴァランス社のスマホアプリ「alyssa.(アリッサ)」では「AIマンション(部屋)」「スマホなどの端末」「ユーザー」という3点認証でセキュリティ対策を講じているため、なりすましも難しいとの見解を示しています。
それでは、AIマンションではなくAndroidやiOSなど、OS自体に脆弱性が見つかり、それを狙ったサイバー攻撃から「alyssa.」アプリが影響を受けた場合のセキュリティ対策はどうでしょうか?
インヴァランス社はそうした事態が発生し、アプリが影響を受ける可能性については否定していませんが、開発側で迅速に対応できる体制がすでに整っているとのことです。
その他、マンション向けのAI「CASPAR(キャスパー)」を開発したBOT社のサイバーセキュリティ対策はどのようになっているのでしょうか?
ハッキング、不正アクセス、侵入、乗っ取りなどさまざまなサイバー攻撃が考えられますが、BOT社では「エンタープライズクラス」、いわゆる企業機密を守るクラスのセキュリティ対策を講じているとのことです。
BOT社はまた、「CASPAR」が収集したあらゆるデータはすべてローカル処理されるため、外部に出ていかないという特長があるとも語っています。
上記はインヴァランス社とBOT社の例ですが、このようにAIマンションを提供する以上、サイバーセキュリティ対策を講じられていることは重要であると言えます。
ユーザー自身もAIマンションのセキュリティについてはよく考える必要がある
今回は、AIマンションとセキュリティという2つのキーワードについて考えてきました。
AIマンションでは高性能のセキュリティ機能を利用でき、サイバーセキュリティについては開発者側が入念な対策を講じています。
一方、AIマンションではなく、居住者が各々好きなIoTデバイスを導入する、いわゆる一般的なスマートホームにおいては、セキュリティに関する責任の所在はユーザー側にあるという考え方が主流のようです。
しかし、設計時点からAIやIoT技術を組み込んで建設したAIマンションでは、販売元や製造元にセキュリティに対する責任が生じる可能性が高くなります。
サイバーセキュリティの世界は、PCやスマホなどを見ても分かるように「いたちごっこ」の様相を呈しており、AIマンションも例外ではありません。
AIマンションにおけるセキュリティ対策は100%安全とは言い切れないことを理解したうえで、ユーザー自身もセキュリティ対策を講じること、そしてシステムやソフトウェアのアップデート通知などには迅速に対応することが望ましいでしょう。