受難を乗り越えて登場したListnr
画像引用:https://listnr.cerevo.com/
今回ご紹介するListnrは、実はもともとInterphenomが2015年1月からKickstarterでクラウドファンディングキャンペーンを行っていたのですが、原因不明の停止処分を受けてしまったという経緯があります。
Kickstarterのポリシーにより回答が得られないとのことで、原因は未だに解明されていませんが、キャンペーン期間中に目標額5万ドルを上回る6万3,808ドルの資金を調達できた背景もあり、Kickstarterを再利用せず、独自に製品化する道を探ることになりました。
その結果、Cerevoが開発を引き継ぎ、新たにCerevoブランドとして無事製品化されて1年後の2016年1月に販売開始に至ったのです。
そんな受難を乗り越えて世の中に登場したListnrは、マイクはマイクでも無線LAN経由でインターネット接続できる、いわゆる“スマートマイク”です。
集音した音声をクラウドにアップし、サーバーで音を解析することで、その音声がどんな感情によって発せられたのかをスマホアプリを介してユーザーに知らせてくれるという画期的な機能を備えています。
Listnrの特徴や機能について
「キモチを色に」のコンセプトのもと開発されたListnrは“音を拾って解析”することになりますので、リビングや子供部屋など、私たちの生活空間に設置しておかなければなりません。
そのため、Listnrは「生活の中に自然に溶け込めるようなデザイン」であることを重要視しており、生活空間にあっても違和感がないシンプルかつオシャレな外観に仕上がっています。
主に乳幼児(0~2歳程度)を持つ家庭向けの小型IoTデバイスで、パナソニック株式会社から技術提供を受けて開発された「xauris(ゾウリス)」という音声認識システムがデフォルトで搭載されています。
xaurisでは、乳幼児が発する声から「泣く」「笑う」「ぐずり」「喃語(なんご=乳幼児が発する意味のない言葉や声)」の4種類の感情を認識して解析し、スマホに通知してくれます。
*なお、開発者向けにAPIが公開されていますので、音声認識エンジンを自分自身でも組み込むこともでき、xauris以外の音声認識エンジン、音声解析サーバーを設定して、乳幼児以外の声を認識して解析することも可能になります。
ユーザーはスマホにListnrの専用アプリを入れておけば、Listnr本体が集音して解析した音声がどのような感情によるものなのかをあらかじめ設定した任意の9色の光で知ることができ、また蓄積されたデータをもとに期間別の傾向を知ることもできます。
たとえばパパが仕事に行っている間、赤ちゃんがどんな感情なのかといったことも、昼休みのちょっとした時間にチェックすることができますので、家族をより身近に感じることもできます。
ほかにも、招待コードを使って他のListnrアプリを持つ人と共有できる機能も搭載されていますので、遠く離れた実家の両親にお知らせすることもできます。
ただ、乳幼児が音声を発するたびに通知されていては大変な通知量になってしまいますが、さすがにそこは考慮されていて、
「午前中はよく笑っていた」
などと、まとめて通知されますので「嬉しいはずなのに通知が来すぎてうっとうしい」という感情を抱いてしまうといったことはないでしょう。
なお、xaurisでの解析結果はスマホ以外にListnr本体にも反映されます、表面に搭載されたLEDイルミネーションによって、感情を色で表してくれるというものです。育児をしているママも、これなら毎回スマホを開く手間も必要ありませんし、視認できますので手の動きを止める必要もなくなります。
Listnrのスペックや価格
画像引用:https://listnr.cerevo.com/
無線LANはIEEE 802.11b/g/n(周波数帯2.4GHzのみ)のWi-Fi接続によって利用できます。またアプリの対応OSはAndroid OS 4.4以降またはiOS 8.4以降となっています。
本体サイズは幅123.5mm×奥行き96.5mm×高さ76.5mmで重量は約190g、電源はUSB給電(micro USB)または単3乾電池2本で駆動しますので、据え置きも持ち歩きもできるように配慮されています。
販売価格は16,900円(税別)で、Cerevoの公式オンラインストアやAmazon.co.jpなどで購入することができます。
乳幼児は声や音を発することはできても、私たちがその感情を正確に理解するのが難しいこともあります。
そんな時でも、Listnrがあれば感情が可視化されますので、私たちも即座に把握しやすくなりますし、離れたところにいる家族もチェックすることができ、「今日はよく笑っているね」「最近よく泣くね」など、まるで一緒の時間を過ごしているかのように共感することもできます。
言葉を覚える以前の「乳幼児の音声」は世界共通と言われています。そんな音声に込められた感情を解析できるListnrはすでに各国で販売されていますが、この先さらに、世界中に広がって行くかもしれません。