“分かりやすい”スマートホームの形を提案するLG
LGは世界最大規模のコンシューマーエレクトロニクスショーである、
「IFA(毎年9月にドイツ・ベルリンを中心に開催)」
「CES(毎年1月にアメリカ・ラスベガスで開催)」
あるいは携帯電話会社やテクノロジープロバイダー、コンテンツ会社のCEO(最高経営責任者)などが集う、
「MWC(モバイルワールドコングレス/スペイン・バルセロナなどで開催)」
といった見本市などで、積極的にスマートホーム関連のIoTデバイスを展示・紹介している韓国の企業です。
LGは「SmartThinQ」という独自のスマートホームシステムを展開しており、そのシステムを拡張するためのデバイスとして「SmartThinQ Hub」を2015年に発表しています。
SmartThinQ HubはLGが開発したスマートホーム向けのIoTデバイス同士を繋いだり管理したりするためのハブで、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなどの通信規格をサポートしているほか、LGが販売しているスマートホーム向けのIoTデバイスはもちろん、サードパーティー製のデバイスにも対応しています。
また、今使っている家電に「SmartThinQ Sensor」を装着することでSmartThinQ Hubと連携することができますので、家電は必ずしもIoT化された最新モデルでなくとも良いという点も特徴の一つです。
SmartThinQ Hubは「Amazon Echo」のような円筒状をしていて、天面に3.5インチのカラー表示される液晶が搭載されています。
家電の状態や天気情報、スケジュール確認などができるほか、本体にはスピーカーが搭載されていますので、音楽のストリーミング再生にも対応しています。
現在のところ韓国語による音声コマンドにしか対応していないとのことですが、AmazonのAIアシスタントである「Alexa」のエコシステムに組み込むことが可能なため、Amazon Echoを連携させることで英語による音声コマンドにも対応できるようになっています。
SmartThinQ Hubは、LGが開発したスマートホームデバイスで、現在競争が過熱しているいわゆるAIが搭載された“スマートスピーカー”なのです。
LGはハブやセンサーのほかIoTテレビ、ロボット掃除機、スマート冷蔵庫など様々なスマートホーム向けのIoTデバイスを販売していて、それらが全てハブを通してコントロールできるうえ、サードパーティー製のデバイスとも積極的に連携を進めています。ユーザーにとって非常に分かりやすいスマートホームの形を提案している企業と言えるでしょう。
LGが発表したユニークなスマートホームデバイス
LGはユニークなスマートホームデバイスをいくつも発表しています。
たとえば2016年のMWCで発表したホームモニタリングとペットエンターテインメントを組み込んだボール型のロボット「Rolling Bot」は、カメラ、赤外線センサー、マイク、スピーカー、レーザーポインターなどを搭載していて、部屋中を自由自在に動き回ることがでるかわいいロボットです。
スマホでの遠隔操作が可能となっていて、留守中の家の様子を映像や音声でモニタリングできるほか、Bluetoothや家庭内のWi-Fiを介してテレビや照明などのデバイスと連携することも可能です。
ペットモードではスピーカーを通してペットに話しかけることができたり、レーザーポインターを照射してペットと遊んだりすることもできます。
また、2017年3月に日本でも量販店モデルの販売が開始されたLG Stylerは、自宅にいながらクリーニングができてしまうというスグレモノです。
欧米や韓国ではすでに2011年から販売されていたデバイスですが、衣類や小物に付着したニオイ、しわ、ほこり、花粉、ハウスダスト、ダニなどを自宅で簡単にケアできるというものです。
リフレッシュコース、除菌プラスコース、上質乾燥コースの3種類が用意されていて、素材や目的によって最適なケア方法を選ぶことができるうえ、専用アプリをインストールすることで衣類の素材や用途に応じて機能を追加することができます(ただし現在NFCに対応しているAndroid端末のみとなっています)。
スマートホーム市場で特にオープンな戦略を見せるLGの今後に注目したい
スマートホームの発展において非常に重要なポイントとなるのが、異なるプラットフォームに繋がることができるユーザーインターフェースの開発です。
自宅にある家電や電化製品などを見渡してみると分かることですが、1つのメーカーだけでそれらが占められているということはまずないと言えるでしょう。
照明をコントロールするのはSmartThinQ Hubから、テレビをコントロールするのはAmazon Echoから……などとなればユーザーは非常に使いにくいため、導入もためらってしまい、スマートホーム市場の発展を妨げかねません。
その点、LGのスマートホームデバイスは、たとえばIFAにおいてテレビの横にはAmazon Echoが、ファンの横にはGoogle HOMEが置いてあるなど、自社デバイスのみにこだわらずユーザーの使いやすさを第一に考えたオープンな戦略が目立ちます。
今後、さらに連携するサードパーティーが拡大してくれば、ますますユーザーにとって使いやすく、導入したいと思えるスマートホームシステムに発展していくものと思われます。
今後のスマートホーム業界でのLGの動きに、ぜひ注目していきましょう。