同公園のある市原市は、コロナの影響もあり、都心から離れたエリアとして注目されている。テレワークや在宅勤務が増え、住宅の立地にこだわらない層が増えているなかで、都心に比べて地価が安く、広い家に住めるとあって魅力的な地域だ。
今回話を聞いたのは、「市原住宅公園」の一角にモデルハウスを構え『Space Core』が導入されている、日本ハウスホールディングス千葉営業所だ。
住宅展示場で、『Space Core』はどう活用されている?
日本ハウスホールディングス(本社:東京都・千代田区、東証1部 1873)は、自然檜の建材にこだわる注文住宅メーカーだ。
同社が掲げる「快適住宅」は、日本伝統の木造軸組工法を採用しつつ、高い機能性や災害に強い安全性、またZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を支える高い断熱・機密性が備わっている。建築後も長期保証やメンテナンス、リフォーム、住まいのトラブル相談など、顧客と末永く付き添っていく企業姿勢が強みだ。
そんな同社が、2020年7月にリニューアルオープンした千葉営業所兼モデルハウスは、快適住宅「J-ステージ」というセミオーダーメイドの住宅。2階建ての木造住宅で、広々としたリビングルームの天井は、2階までの吹き抜けになっており。広々とした開放感のある空間だ。
同モデルハウスの要所に『Space Core』のIoT機器が設置されているが、接することができるのが2階の寝室だ。
一見すると、何の変哲もないベッドサイドだが、サイドテーブルには、スマートスピーカーのAmazonアレクサと「SPOT」と呼ばれる機器が設置されている。
Amazonアレクサと「SPOT」は接続されており、エアコンやテレビ、照明操作といった音声命令を、SPOTを介して操作することができる。
また、バルコニーに出られる窓側には、見守り等に活用されるネットワークカメラ「FRAME CAMERA (フレームカメラ)」と、自動でカーテンを開け閉めできる「Curtain Motor(カーテンモーター)」が設置されている。
壁面には「CUBE Clicker(キューブクリッカー)」が設置されており、ワンクリックで家電や照明など、ネットワークと繋がっている全ての機器を操作することができる。
随所に『Space Core』が活用されているモデルハウス、来場者からの反応や現場での声はどういったものなのだろうか。千葉営業所 檜の家 J・エポックホーム事業部の中村茂明所長と、同営業課の笹原寛樹さんに話を聞いた。
スマートホームが当たり前になる時代が来る
―『Space Core』を導入したきっかけを教えてください。
中村所長:
アクセルラボと当社設計部のやりとりがきっかけでした。ちょうど、千葉展示場をリニューアルするということで、何か新しい取り組みを始めたいと考えていました。
どんどん時代が変化していくなかで、住宅にもIoTやスマートホーム化が必要だろうと考えていました。正直、我々も手探りの部分もありながらスタートしました。
―『Space Core』のようなサービスが、これから必要になってくるだろうと考える理由はなんですか。
中村所長:
住宅には、時代とともに様々なトレンドがありました。耐震や災害、エネルギーやソーラー発電など、常に顧客のニーズは変わります。今は、抗菌・抗ウイルスといったものでしょう。
そういった流れのなかで、様々なものがスマホで完結する時代に変わっています。それは住宅も例外ではありません。近い将来、IoTやインターネットが住宅とマッチすることが当たり前の時代になると考えています。
―実際に導入して、アクセルラボの対応はどうでしたか。
笹原さん:
アクセルラボの担当者には機器の使い方やレクチャーなどで3回ほど来ていただきました。
2時間ほど、きちんとした勉強会を開いていただき、機器の説明や用途の説明、あとはスマホでの操作方法などを丁寧にレクチャーいただきました。
中村所長:
非常に良い対応をいただいています。
―来場客の反応はどうでしょうか。
笹原さん:
設置してからまだ日が浅いため、たくさんの方に紹介できているわけではありません。しかし、寝室を案内し、ボタンひとつで照明やエアコン、カーテンの開閉などができることを説明すると、「凄い」という好印象を持ってもらっています。
一方で、「人をダメにするね」と半分冗談に言われる方もいらっしゃいます。まだまだ、一般の方々にIoTやスマートホームが浸透していないのだと実感します。
中村所長:
実際に導入することでどういう生活ができるのか。家のプロである我々がもっと説明しなければなりませんね。顧客よりも詳しく、最新の住宅に関するものを提案することが重要です。
―不動産業界はIT化が遅い業界であると言われています。
中村所長:
不動産業界のITやテクノロジー化が遅れていることは間違いありません。
当社は注文住宅を取り扱っています。注文住宅は設計から始まりますが、機械が設計してくれるわけではありません。顧客からどんなものが良いのかを、内容をヒアリングし、考えながら形にしていく。どうやってもアナログな部分が生まれてしまいます。
笹原さん:
ただ、ITによる効率化やテクノロジーの活用は前向きに考えています。当社も、ネットから360度3D映像で見られる「WEB住宅展示場」を提供しており、離れていても全国12の展示場を見ることができます。
―コロナ禍のなかでは、非対面での対応も求められていますね。
中村所長:
当社も、オンラインツールを活用したリモートでの提案を案内していますが、実際に会いたいという方が多いですね。注文住宅という大きな買い物ですので、しっかりと提案を聞きたいと思っている方が多い。
笹原さん:
図面や資料の説明となると、対面でやった方が細かいところまで伝わります。お客様としても図面を一緒に見て、話をしないと伝わらないという声も多いですね。
―テクノロジーの活用と、アナログなやり方のバランスが重要なのですね。
中村所長:
デジタルのなかに、あえてアナログな方法をハイブリットでやることもポイントだと思います。
我々は、モデルハウスに来場いただいたお客様に、御礼のお手紙を直接持って行き、手渡しするようにしています。当然、「いきなり来られたら困る」というお客様もいるかもしれませんので、全ての方にではありません。しかし、来場時にそれぐらいの親密な関係を築くことができるか、信頼関係を作ることができるかが重要です。
当社は、買って終わり、建てて終わりではありません。住んだ後も長く関係が続く会社なので、展示場に来てもらったときからの対応や関係性を作っていくためには、アナログな人間味も必要だと考えています。
―アクセルラボや『Space Core』に要望や希望はありますか。
中村所長:
「これを使ったら顧客がどういった生活ができるか」「顧客が何を一番望んでいるか」を、これからも追求してサービスを開発して欲しいと思っています。
私は、IoTやスマートホーム化に求められるのは、セキュリティだと考えています。
遠隔での家電操作などはもちろん便利ですが、留守時のセキュリティも重要です。警備会社のサービスを導入するほどではないけれども、施錠や他人が侵入時したときの通知なども簡単にできれば良いと思います。
家を建てられ方は、安全性を求められている方が多いです。我々も安全性が保全されるサービスであれば勧めやすいですね。
笹原さん:
強いていうならば、アプリの動作がもっとスムーズになればと感じています。
カメラなどを見ると携帯のスペック次第でカメラを使うとカクついてしまうことがありますから。
―お二人は個人的にIoT機器を導入されているのでしょうか。
笹原さん:
私は入れていますね。スマートスピーカーのGoogle homeを使ってテレビやエアコン、一部の照明などを操作しています。
小さい子どもがいるのですが、食事中などにできるだけテレビを見させたくない。そうなったとき、リモコンを取ると消されることが子どもにも伝わり分かるので騒いでしまいます。そこを音声で操作できます。ニッチな使い方ですが便利ですね(笑)。
―注文住宅にスマートホームを入れるというはまだあまり事例がないように思います。そういったなかではリーディングカンパニーとしての今後の展望はありますか。
中村所長:
当社の「快適住宅」は、機器を使っての快適というシリーズではありません。
快適に暮らすための、素材や空気環境、健康面、安全性といったものを「快適住宅」と銘打っています。
当社の「快適住宅」にある快適性と、『Space Core』を活用した便利さ快適さは、意味合いは異なりますが、いずれ1つになれば一番良い住宅ができると思っています。
今は人生100年時代と言われ、コロナ禍の中で仕事、生活の変化が求められています。
その中で「住宅」としての変化も必要であり、今後としては住宅の快適さ、性能はもちろんですが「住宅」としての機能性が求められる時代がすぐそこに来ていると思いますのでIOTを取り入れた住宅が必要になってくると思います。