【置き配には盗難リスクも】物流業界では人手不足や再配達率増加が大きな問題に、ソフトバンクが対策に乗り出す
物流業界は現在、慢性的な人材不足に悩まされています。必要な人員に対して、物流業界に身を置きたいと希望する人が少ないのが現状です。また宅配ドライバーの年齢が高齢化しているのも問題になっています。
さらに人材不足なのにもかかわらず、宅配への需要が高まっているのも問題です。「楽天市場」や「Amazon」といったサービスが日常生活にも定着して宅配を依頼するのが当たり前になった方が増えた上、コロナウイルス蔓延もその状況を加速させています。コロナウイルスの終息に時間が掛かるのを考えると、しばらくネットショッピングサービスに人々が頼る状況は続くでしょう。
ネットショッピングにおいて問題になっているのが、再配達です。「荷物を受け取ってほしいのに、配達時間に相手がいなかった」といった状況が発生し、一度で配達が完了しないケースが増加しています。
国土交通省の調査では再配達率は15%となっており、今後どう減らしていくかが課題になっています。
再配達率を減らす手段として有効なのが置き配ボックスの設置です。置き配ができればユーザーは自分の好きな時間に荷物を受け取れますし、配達業者側も一度で効率よく荷物をユーザーへ運べます。
コロナ禍で行われたパナソニックの調査では70%が「対面での受け取りが不安」と回答し、同時に70%が「非対面での受け取りを希望」と回答しました。置き配はユーザーの心情的にも好ましいサービスです。
ただし置き配は現在、セキュリティリスクに課題があります。ユーザーが商品を受け取る前に盗難被害に遭ってしまうケースが増加しており、安全な置き配へのニーズが高まっています。
ソフトバンクが提供しようとしている置き配ボックスサービスは、セキュリティリスクを減らして安全に置き配が利用できるサービスとなっているのが特徴です。
ソフトバンクが実証実験を開始した、置き配ボックスサービスとは
ソフトバンクの置き配ボックスサービス実証実験には、他の企業も参加しています。各企業の役割は次のとおりです。
・ソフトバンク:検証実験を行う、IoT宅配ボックスや専用アプリなどを提供する
・パナソニック:IoT宅配ボックスを製造する
・ビットキー:IoT宅配ボックスに搭載されるデジタル認証技術を提供
「パナソニック」は長年宅配ボックスを作ってきたノウハウを基に、IoT用の宅配ボックスを製造しています。また「ビットキー」は高度なデジタル認証技術を置き配ボックスサービスへ提供しているのがポイントです。
実証実験にはソフトバンクの社員が参加し、社員の自宅にIoT宅配ボックスを設置して検証を行っています。
ソフトバンクの置き配ボックスサービスには、次のような特徴があります。
専用アプリで開錠が可能、Bluetooth接続を用いる
置き配ボックスサービスを利用するには、専用アプリを用います。専用アプリからはBluetooth接続を利用したボックスの開錠が可能な他、配達日時や配達状況の確認なども行えます。
スマホから簡単にボックスを開けられるので手間が掛かりませんし、セキュリティに関しても安心できるのが特徴です。
接着施工で取付も簡単、耐久性・耐候性も優秀
ソフトバンクの置き配ボックスサービスは、取付も簡単になっています。接着施工により自力ですぐにボックスを後付けできるようになっているので便利です。工具は必要ありません。
また衝撃にも強く荷物の重みにも耐えられます。耐候性にも優れており、長期間使えるようになっているのもメリットです。
特許取得のデジタルキー技術により、高セキュリティのデジタル認証を実現
ボックスのセキュリティには、ビットキーが提供する「bitkey platform」が利用されています。鍵の開閉に高度なデジタル認証技術を活用しており、外部から不正に接続して開けられないように工夫されているのがポイントです。
このようにソフトバンクの置き配ボックスサービスは、ボックスをIoT化したことにより従来の置き配ボックスよりも安心して使えるようになっています。
将来的にはサブスクリプションモデルに?ソフトバンクの置き配ボックスサービスの今後の展望とは
ソフトバンクでは今回の実証実験の後、一戸建ての居住者を対象として置き配ボックスサービスを2020年度以内に開始したいとしています。初期費用不要で使えるサブスクリプションモデルとして、定期的に利益を見込めるビジネスとなる予定です。
将来的には集荷に関係する他サービスとの連携も検討しているので、さらに利便性が向上していくでしょう。今後のソフトバンク置き配ボックスサービスの最新動向に注目してみてください。