初心者にも分かる!「IoTとは何か?」を簡単におさらい
まずは「IoTとは何か?」について、知識がない方や曖昧だった方にも分かりやすく、ポイントを絞って解説します。
IoTとは?
IoTとは「Internet of Things」の略で、イギリスの技術者ケビン・アシュトン氏による造語です。日本では「モノのインターネット」と訳されていますが、いまいちピンと来ませんよね。「あらゆるモノがインターネットに接続され相互通信をする仕組み」とでも覚えておきましょう。
身近なところで言えば、今お使いのスマホがそうです。電話ですがインターネットに接続しますよね。これにより私たちは、さまざまな情報を仕入れたり、発信したりなど電話以外の機能を使うことができているわけです。
従来、インターネットはコンピューター同士を接続するためのものでした。ところが今はあらゆるモノ、しかもインターネットとは無縁と思われたようなモノ(車、照明、靴、メガネ…などなど)までもが、次々とインターネットにつながり始めています。
文字通り「あらゆる」モノがインターネットにつながること、およびその仕組みのことをIoTと呼ぶのです。
なお、モノは「デバイス」と呼ぶことがあります。持ち運びできるような手軽な小物は「ガジェット」と呼んだりもします。この記事でも、以降はモノ=デバイスと表現します。
IoT化されデバイスをより具体的に指す場合は「スマート◯◯(スマートフォン、スマートスピーカーなど)」とよく言います。車の場合は、つながることから「コネクティッドカー」と呼ぶことも多いですね。一緒に覚えておくと便利です。
IoTの何が便利なの?具体的に暮らしはどう変わる?
IoTは分かったけど、何が便利なの?自分たちの暮らしはどう変化するの?そんな疑問にお答えします。今後さまざまな仕組みが登場すると思いますが、ここでは特に分かりやすさを重視して、IoTの基本的な仕組みを簡単に解説します。
IoTの基本的な仕組み
IoTデバイスにはセンサーやカメラ、GPSなどのほか、Wi-FiやBluetoothなど無線通信できる仕組みが搭載されています(すべて搭載されているデバイスもあれば、一部だけのデバイスもあります)。
センサーやカメラがユーザーの動きや操作、状態などのデータを検知・取得します。そうした情報はクラウド上に集約されていきます。膨大なデータなどは特に、AIによって分析・解析されます。
分析・解析結果を元に、IoTデバイスが「ユーザーにとって最適」と思われる反応や動作を起こしてくれます。
具体的な例を挙げてみましょう。
買い忘れがなくなる
たとえばあなたがIoT化された冷蔵庫「スマート冷蔵庫」を購入したとしましょう。スマート冷蔵庫は、今現在、自分(冷蔵庫)の中に卵が10個あること、そしてあなたが1日1個のペースで卵を消費することを知っています。
11日目の朝、あなたは「卵がない。帰りに買ってこなければ」と思います。でも忙しくて買い忘れてしまい、帰宅後に思い出しました。普通なら「今からまた着替えてスーパーに行くしかないのか…」ですよね。
ところが、卵の数とあなたの消費ペースを知っているスマート冷蔵庫は、卵がなくなる前に自動で注文してくれるのです。先ほど説明した仕組みを当てはめると
・卵が10個入っていることを知っている=状態の検知
・あなたが1日1個消費するのを知っている=状態の検知+データ分析の結果
・卵が切れる前に自動注文する=データ分析の結果あなたに「最適」と思われる動作
となります。少し極端な例かもしれませんが、こうした仕組みがIoTであり、従来の冷蔵庫にはなかったプラスα以上の「新たな付加価値」を生み出してくれるのです。
見えない安心が手に入る
離れて暮らす両親の見守りにも役立ちます。
たとえばあなたが、両親だけで暮らしている実家のリビングのドアにWi-Fi対応の「開閉センサー」を取り付けたとしましょう。両親のいずれかがドアを開閉するたびに、離れて暮らすあなたのスマホに「ドアが開いた/閉じた」と通知が来ます。
離れていても「両親は今日も元気だな」と感じることができます。しかも日々の開閉データはクラウド上に蓄積され、グラフなどで見ることができます。それにより「今日は木曜日だ。平日はいつも朝7時頃にドアが開くはずなのに、今日は8時を過ぎても通知が来ない。どうしたのかな?電話してみようかな」と、異変をいち早く感じ取れるようにもなるのです。
これらはごく一例です。IoTとは、私たちの暮らしをより便利で快適にしてくれるだけでなく、新たなサービスを創出したり、見えない安心や安全を与えてくれたりするなど、無限の可能性を秘めた仕組みなのです。人手不足が深刻な農業の分野、人が行うには危険なインフラ設備の点検、災害時の人命救助などにも、IoTの技術が活用されています。
近い将来、セグウェイのような立ち乗り自転車に、センサーとGPS、ナビシステムを搭載し、乗るだけで帰宅できる「自動家まで帰らせ機」が登場するかもしれません。
今すぐ簡単に始められる!「IoTがある生活」とは?
IoTがある暮らしは、誰でも今日から簡単に始めることができます。初心者の方でも取り入れやすく、しかもIoTの便利さを存分に感じることができるのは、なんと言ってもスマートホームでしょう。
スマートホームとは、家中のあらゆる家電や家具、設備機器などがIoT化されて相互通信することで、そこに住む人の暮らしをより豊かで便利にしてくれる住宅のことです。とはいえ、もちろん住宅を丸ごと建て替える、家電や家具を一式買い揃えるといった必要はありません。
いくつかのIoTデバイスを導入するだけで、今ある暮らしがまさに近未来のような便利で快適な、そして豊かな暮らしへと一変するでしょう。
【IoT×スマートホーム】入門編に最適なデバイスまとめ
IoTがある暮らしを手軽に始めるにあたっておすすめのデバイスをまとめました。ぜひ参考にしてください。もちろん、一気にすべてを揃える必要はありません。
なお、それぞれに紹介している製品をクリックすると、各製品を紹介している記事をご覧いただけます!ぜひ併せてご参考ください。
スマートスピーカー
・ Amazon Echo (Amazon )
・ Google Home (Google ) など
まずはスマートホームの基盤となる、スマートスピーカーを導入しましょう。Amazon Echo、Google Homeなどがおすすめです。音楽再生はもちろん、交通情報や今日の天気、予定、レシピ、調べ物、リマインドなどとにかく多機能で、スマートスピーカー1台だけでもIoTの利便性を感じることができます。
スマートリモコン
・ Nature Remo (Nature )
・RS-WFIREX4 (ラトックシステム) など
スマートスピーカーと併せて導入したいのが、家中のあらゆるリモコンの赤外線信号を覚え、一元的に管理できるスマートリモコンです。たとえばAmazon Echoと連携させて「アレクサ、エアコンをオンにして」と言えば、エアコンを声でコントロールできます。
スマートロック
・ Qrio Lock (Qrio )
・ セサミ スマートロック(キャンディハウス) など
サムターンに取り付けるだけなので、賃貸物件にお住まいの方でも導入できます。うっかり鍵を閉め忘れても、家の中なら「アレクサ、鍵を閉めて」でOK、外出先でもアプリ操作で施錠できます。位置情報により、玄関に近づくと自動で解錠することもできます。
スマート開閉センサー
・コネクト(エンコアードジャパン)
・ leafee mag (leafee ) など
ドアや窓に取り付けておくと、開閉を検知した際にスマホに通知が届きます。忙しい朝の出がけなども、アプリを開けば一瞬で家中の戸締まりをチェックできます。スマートロックやネットワークカメラなどを併せて導入すれば、一気にセキュリティーレベルが向上します。
スマートウォッチ
・Apple Watch(Apple)
・ Fitbit (Fitbit ) など
時間はもちろん、心拍数や歩数、消費カロリーや睡眠時間、スマホに届く通知や通話までできるのがスマートウォッチです。睡眠の質を知ることもでき、健康管理に大きく役立ちます。
こちらの記事では、スマートウォッチ に関するあれこれを解説しています!ご参考ください。
これらはまだまだ一例ですが、スマートスピーカーとスマートリモコンを導入するだけでも十分、IoTがある暮らしを体感することができるはずです。
話したくなる豆知識?未来のIoTを支える「5G」「LPWA」とは
ところで、これからのIoTを支える「5G」や「LPWA」といった通信方式・通信技術をご存知でしょうか?5Gは何となく聞いたことがあるという方も多いでしょう。知っていると誰かに話したくなる、ちょっとした豆知識を紹介します。
5Gとは
すでに日本でもサービスが開始していますが、4GやLTEに代わる通信方式が5Gです。速さは4Gの約20倍、2時間分の映画がわずか15秒でダウンロードできるほどのスピードです。しかも最大1万台同時接続できる技術でもあります。これは4Gの約10倍とされています。
速いと言われていたLTEですが、伝送時間間隔は1ミリ秒でわずかながらも遅延は発生していました。5Gでは伝送時間間隔が4分の1の0.25ミリ秒にまで縮まりました。よりリアルタイムの通信が重要となる自動運転、遠隔医療、ドローン操作、エンターテイメントなどでの活躍が期待されています。
LPWAとは
「Low Power Wide Area」の略です。文字通り、省電力&低コストで広範囲に通信できる技術です。たとえば、ごく一般的な電池を数年使い続けられるほど省電力かつ低コストと言われています。通信可能な範囲も数キロ〜数十キロとLTE並みの広域性・遠距離性を備えています。Wi-Fiと真逆の性質があると言ってよいでしょう。家電や農業、各種製造業に漁業などでの活躍が期待されています。
IoTやスマートホームが抱える問題と我々が持つべき意識
IoTとは何かを分かりやすく解説するとともに、IoTでどんなふうに変化していくのか、IoTがある暮らしを始めるにはどうすればよいのかをお伝えしてきました。最後に、私たちが意識しなければならない重要な課題をひとつお伝えしましょう。
セキュリティー意識の重要性
すべてのモノがインターネットにつながるということは、すべてのモノがサイバー攻撃の的になる可能性があるのです(やや大げさですが、砕いて言えばそういうことになります)。
ネットワークカメラが乗っ取られて家の中が丸見えだったり、留守であることが知られて空き巣に入られたり、重要なクレジットカード情報が漏洩して悪用されたり…インターネットにはさまざまな危険が潜んでいます。IoTの便利さは言うまでもありません。すでにIoT全盛の時代へと突入していますし、黙っていても今後全世界へと普及することでしょう。
IoTの利便性を知ると同時に、セキュリティーに関する意識をこれまでよりも強く持ち、正しい知識を身につけていくことが大切です。